旭日旗をデザインした服で世論が沸騰 今年6月に4年に1回のビッグイベント、サッカーのワールドカップがあります。主催国の日本、韓国に中国と東アジア勢が3ヶ国出場します。スポーツの世界でこの3カ国が切磋琢磨することは、互いの理解と交流にとって良い結果を生み出すと思います。 政治、経済の面では反発や利害をめぐっての応酬などがしょっちゅう現れる3ヶ国です。特にこの50年間歴史をめぐる論争はまだ片がついていません。ですからこの3国間の出来事にはいつも目を離すことはできないと思っているんですが、その中国でやはり歴史問題の影響は大きい、と考えさせられる出来事がありました。 この関西遼寧ニュースの第41号(2000.2)で、中国の女優・趙薇(チャオ・ウェイ)と彼女が主演したテレビ連続劇「還珠格格」のことを紹介しました。このドラマで人気沸騰し、今もトップアイドルとして活躍している趙薇ですが、ファッション雑誌「時装」でモデルとして着用した服の問題で国民に全面謝罪をすることになったのです。昨年12月のことです。 ニューヨークで撮影したとき着用したワンピースミニスカートのモチーフはなんと旧日本軍の旭日旗。服の前面と側面のほぼ半分をこの旭日旗が覆っているデザインに対して、まずインターネット上で、そして各新聞や戦争被害者の家族などから批判の声が大きく上がりました。 趙薇や彼女のマネージャーは当初「これは服のデザインであり、モデルとして『時装』誌の編集部が要求したものを着ただけだ」「『時装』誌は国家新聞出版署を通して正規に出版されている合法誌で、もし軍国主義的傾向があるならそもそも雑誌の発行を認められなかったはずだ」などと語っていました。 歴史認識が結局は問題に しかし今も生々しい記憶を持つ人にとって歴史の悪夢を思い起こすような行動は彼女らの予想を越えていたのでしょう。戦争被害者の家族らの批判だけでなく、例えば江蘇省のある新聞は「彼女の出演する映画やテレビなどの情報は掲載しない。彼女の写真などを使った商業広告を掲載しない」などとの声明を発表し、「これは中国国民の感情を傷つける行為で、国民に謝罪すべきだ」としました。 テレビドラマを見ない、CDやテープも買わないという声が高まるにつれて、結局趙薇は全面的な謝罪をせざるをえませんでした。「自分の歴史認識の浅さと悲惨な歴史に対する鈍感さが、多くの人々を傷つけてしまったことを深く反省しています。仕事が忙しくてもそれ以外の勉強や修養で自分を高めなければならないと知りました」との自己批判でした。 実は趙薇はこの謝罪のあと12月28日長沙で開かれたコンサートで、突然舞台に上がってきた男に引き倒されるなどして、コンサートが中止になったという事件も起こっています。影響がさほどに大きかったということでしょうか。 国旗をモチーフにしたTシャツなどは良く売られていますが、国旗であれ軍旗であれデザインとして斬新な服を着ることに特にためらいを持たない彼女を見ると、中国の若者の意識も変わってきたなあと見るべきでしょう(当たり前ですが)。一方歴史への甘い認識は許さないぞとする中国世論がまだまだ健在であるのも常識的なものでしょう。 で、私達ですが、あたりまえのことですが歴史から離れられない以上、常に真剣に過去と向かい合って、しかし未来こそ必要だとの認識で行動するしかないと思います。 趙薇が出演した香港映画「少林足球」はもうまもなく公開されるとのことです。いろいろありますが、やっぱり彼女を見にいきたいと考えています。 |