中国経済情勢セミナーを開催

 1118日、当協会主催のセミナーを開催し、10名ほどの出席者がありました。

 会員の三戸俊英氏(公認会計士三戸俊英事務所代表)が「国有企業改革の行方と中国の経済情勢」と題して報告を行い、事務局の森下から当協会関係の中国での事業の状況について報告があり、食事をしながらの質疑応答となりました。

 三戸俊英氏の報告レジュメは下記の通りです。

  1. 中国投資の現状

 (1)勝ち組と負け組の差がはっきりしてきた

   勝ち組−モトローラ、P&Gなど 日系企業−負けが増える

 (2)神主転じて和尚も兼ねる

   (三戸氏の)仕事としては、侵出よりも撤退が上回る

2.中国―この隣人とビジネスパートナーとしてどうつきあうのか

 (1)WTO加盟による外資の進出環境が良くなるという楽観論の戒め

 (2)国有企業改革は非常に困難

   背景に、国有企業=地域社会という構造を持っている

   資金の配分を国有企業の欠損補填よりも起業家の創業に向けること

   新しい酒は新しい革袋に

 (3)外資系企業に対する様々な費用徴収や輸出税還付の不実行、委託
    加工保税補償金(増値税、関税相当の補償金)の徴収など、投資
    奨励に反する政策来るまでは奨励するが、来てからは冷たく

 (4)しかしながらお互いに引っ越すことはできない

   戦前は、上海に10万人、北京に5万人の日本人が居住

3.なぜ法治国家への道が遠いのか

 (1)法システムの根底となる理念への無理解

   仏を作って魂を入れず

   増値税の輸出税額不還付

 (2)ゴルフ場預託金への営業税、企業所得税の課税

   租税法律主義の欠如、国家にルールを守らなければならないという意識が希薄

4.日本企業の中国投資戦略の再構築

 (1)人事システムにおける日本型給与体系の不採用

 (2)雇用における短期契約制

 (3)小さく生んで大きく育てる(製造拠点)か、資金大量投下(国内市場目当て)
    でいくか。

 (4)投下資本の回収の悪いプロジェクトからの撤退


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